会いたかった人

【ずっと会いたかった人】ベジブーケ・デザイナーの小山美千代さん(1)

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2019.5.23

畑で採れた旬の野菜を根っこごと束ねた「ベジブーケ®」。「飾る」「食べる」を楽しめる新しいギフトとして話題になっています。ベジブーケを世に生み出したのは野菜作りに携わる小山美千代さん。野菜の美しさに惹かれた理由を聞いてきました。

ベジブーケを作るきっかけは何だったのでしょう。
ある冬の日のことでした。いつものように畑で野菜の手入れをしていると、なにやらきらきらと光るものが目に飛び込んできたんです。なんだろう……と近づくと、それは、朝露に濡れたカリフラワー「ロマネスコ」でした。螺旋を描く円錐形のつぼみの不思議な配列、柔らかな黄緑色、しっとりとした質感。目が離せないほどの美しさでした。「この美しさをだれかに伝えたい」といてもたってもいられず、ロマネスコを花束のように束ねて、ブーケにして友人にプレゼントしてみたんです。驚き、笑顔になる友人の姿を見て、野菜の力ってすごいと改めて実感。ベジタブルで作るブーケ=「ベジブーケ」を多くの人に届けたいと思うようになりました。
大きな葉の間で輝くロマネスコが「宝石のように見えた」。
野菜をブーケにするという発想が斬新ですね。
かつては、「花」で作品を作っていました。幼い頃からフラワーアレンジメントや華道の教室に通い、憧れの花屋をオープン。ブライダル専門のブーケデザイナーとしても長く働きました。花は可憐で美しい。一方で、切り花の命はとても短く、枯れていく様を見るのはとても寂しい。野菜にはパワフルでダイナミックな美しさがあります。野菜に触れるたびに、その生命力から私もパワーをもらいます。そしてベジブーケを作りながら、受け取った人がどんなふうに飾って、野菜をどんな料理に生まれ変わらせ、どんな表情で食べるのか想像するのが楽しくて、私はどんどんベジブーケの世界にのめり込んでいきました。
野菜のほか、イチゴやミカンなどの果物や各種ハーブもベジブーケの材料になる。
ベジブーケを手にすると、みなさん驚かれるでしょう。
「え!野菜なの?」と驚いてもらえたら大成功。プレゼントやギフトって、サプライズ感があるほうが楽しいし、喜びも倍増しますよね。だから、受け取った瞬間は「花束」だと思ってもらえるように、配色やラッピングなど細かいところまで気を配っています。ベジブーケを囲んで、「この野菜がおいしそうね」とか「あの料理にいいんじゃない?」なんて会話が盛り上がってくれたらなおうれしい。贈る人もワクワクして、受け取った人は笑顔になる。周りにいる人も集まってくる。ベジブーケは、関わるすべての人を幸せにする最高の贈り物だと思います。
トマトやピーマン、ナスなど丸みのある野菜を必ず入れて、花束では表現できないつややかさを演出する。
野菜を育てる。束ねる。贈る。一番幸せな瞬間を教えてください。
それはもちろん、ベジブーケがお客様に届き、驚き、喜んでくれたときですね。作ってよかった、続けてきてよかったと自信につながります。畑で泥まみれになりながら育てた野菜がピカピカの実をつけているのを見たとき。採れたての野菜の美しさにときめく瞬間。完成したベジブーケのどっしりとした重み。「ベジブーケを作ってみたい」と言ってくださる人に出会えたとき……。実は、ずっと幸せなんです。ベジブーケに関わる時間、すべてがいとおしいと思っています。
小山さんが経営する農園「伊藤苗木/長吉の畑」で収穫した「朝採れ野菜」をその日のうちに束ねるから、新鮮で美しくおいしいベジブーケになる。

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小山美千代(こやま・みちよ)

ベジブーケ・デザイナー。千葉県の農家に生まれる。幼少よりフラワーアレンジメント、華道を学ぶ。インテリア業界、花業界で活動後、都内のブライダルホールで専任ブーケデザイナーとなる。出産を機に夫とともに実家である伊藤苗木に就農し、里山暮らしを始める。2006年、野菜の美しさに目ざめ、ベジブーケの制作を始めると、新聞や雑誌、テレビなどで紹介され、ベジタブルフラワー装飾の第一人者となる。2013年、ベジブーケの普及のため美千代デザイン株式会社を設立。

撮影・青木和義 ヘア&メイク・レイナ 文・高橋顕子

プレゼント|小山美千代さんのベジブーケ

抽選で5名様に、小山美千代さんデザインのベジブーケをプレゼント。畑から採れたばかり、色とりどりの夏野菜をふんだんに使った美しいブーケです(写真とは内容が異なります。また、野菜のご指定はできません)。

キャンペーンは終了いたしました。 キャンペーンは終了いたしました。