会いたかった人

【ずっと会いたかった人】ファッションディレクターの大草直子さん(4)

2019.7.11

女性ファッション誌の編集者を経て、サルサにはまり南米留学ののちフリースタイリストとなった大草直子さん。大草さんの手元は、いつも個性的で美しいアクセサリーで彩られています。それは、さまざまな経験を重ねて奥行きのあるおしゃれを手に入れた大草さんの生き方を象徴しているよう。アクセサリーの重ね方や、小物の役割について聞きました。

大草さんは、いつもアクセサリーを重ねづけしています。レイヤードするコツを教えてください。
手元のおしゃれはトコトン自由に! 自由な精神は手首に宿る! そう思って、好きなものを好きなように重ねづけしています。旅先で見つけたジャンクなブレスレットから、もう何年も大事にしているハイブランドの指輪まで、テイストも、ブランドもミックス。ゴールドとシルバーの組み合わせもいい感じ。手元のおしゃれは、ネックレスやピアスと違って顔から離れているから、ちぐはぐしていても気にならないんです。だけど、手元は人の視線が止まる場所だから、思いっきり自分の個性を表現したい。基本的には、その日の直感で組み合わせますが、上質な素材や、偽りのない輝きを持つものをひとつは必ず装うようにしています。美しいディテールは、人の記憶に残るから。
人差し指のリングは海外で購入。薬指の色石はマリハのもの。IWCのポルトギーゼ(腕時計)は、いつもおしゃれを前進させてくれる。どんなアクセサリーともマッチする。
これだけは欠かせないという靴を教えてください。
靴は実用品でありながら、コーディネイトの基本となるアイテムなので、私のおしゃれは靴選びからスタートします。「履きたい」の前に、その日のスケジュールと天気とにらめっこ。雨の日に限って、会食があり、撮影があり、子どもの学校の授業参観もあるなどさまざまな予定が入り組んでいることも多く、あらゆるシーンに対応できる靴を一足持っていると安心です。私の場合、それは黒のエナメルのバレエシューズ。ローヒールだからたくさん歩けるし、防水スプレーをかけておけば多少の雨も気にならない。パンツにもスカートにも合わせやすい。きちんとしたシーンでも失礼にならない。足元をしっかり支えてくれる靴は、おしゃれも支えてくれます。あと、最近意識しているのは、いつもおなじ高さのヒールの靴を履かないこと。ファッション&占いエディターの友人から「ヒールの高さは目線の高さ。目線が変わると風が変わる。風を起こしたいならヒールの高さを変えよう」と言われて、なんだか影響を受けてしまったんです(笑) 足元から風を起こすなんて、なんだか素敵じゃありませんか。
軽やかに履けるサンダル、真っ白なローテクスニーカー、オフィシャルな場面で活躍するあいまい色のパンプス。TPOで使い分ける靴は、3足持っていると心強い。スチュアート ワイツマンのサンダルは、シックなリネンのセットアップに合わせ、ワンポイントに。夏の開放的な気分をアップさせてくれる。
バッグはいつも同じ色、似たような形と、保守的になりがちです。大草さんはどのように使い分けていますか。
バッグは、その人の生き方をあらわにする「名刺」のようなアイテムと思っています。一番わかりやすいのは大きさ。コンパクトなハンドバッグはクラシカルな奥ゆかしさや甘さを感じさせる一方で、大きなバッグからは知性があり勇敢な自立した女性像が伺い知れます。また、フォルムも雄弁です。トートバッグのように角のあるデザインはシャープな印象に、ななめがけの小さなバッグは軽やかに、ロングショルダーは肩から下げて持つと安定感を感じさせてくれます。持ち方ひとつでも印象が変わるバッグ。自分がどんな女性でありたいか。バッグに何を求め、何を期待しているのか。悩み、迷い、考える。それが訓練となり、あなたのおしゃれは磨かれていきます。おしゃれには自分の人生が詰まっている。歳を重ねるほどに滋味深くなり、魅力的になっていくものだと思います。
ポップ&スキの真っ白なスクエアボックスバッグは、長めのチェーンを手に下げて持つことで、視線が下に集まり新鮮なバランスに。ケーキボックスのようなフォルムが個性的。
ファッションに自信が持てない。迷いがある。そんなとき、大草さんならどうしますか。
実は、30代の後半頃に、3年くらいスタイリストをお休みしていた時期があるんです。たくさんの服を目の前に絶望的な気持ちになったときのことは忘れません。だから、迷いがある人の気持ちはすごくよくわかる。いいんです。おしゃれをいったんお休みしたって。おしゃれは「義務」ではないのですから。でも、もし、もう一度おしゃれをしてみたいと思ったら、まずは、自分のクローゼットの中を見直してみてください。もう何年も着ていないものは、これからも着ない。痩せてから着ようと思っていた服もすぐには使えない。残るのはきっと、ベーシックなアイテムです。私も、迷いがあるときは、基本に立ち返ります。カシミヤのセーター×デニム。シャツ×サマーウールパンツ。Tシャツ×ふんわりスカート。絶対に外さないベーシックなアイテムが私をもう一度立ち上がらせてくれます。化粧品もそう。どうにもメイクがうまくいかない時は、実はベースのお手入れが行き届いていないのかもしれない。肌に心地よい基礎化粧品で、きちんとスキンケアできているか。塗り重ねるのでなく、素肌と向き合う。そうすることで、本来の自分の美しさに気が付くことができるのではないかなと思います。
左から、化粧水「プレミアム ローション」、乳液状美容液「プレミアム エッセンス」、ハリとうるおいのクリーム「リンクル クリーム」。顔のスキンケアにはもちろん、「背中も顔と同じように丁寧にケアします」

大草直子(おおくさ・なおこ)ファッションディレクター

1972年生まれ。女性ファッション誌の編集に携わったのち、独立。フリースタイリスト、エディター、ファッションディレクターとして雑誌や広告で活躍。イベント企画・出演、執筆、Webメディアを通して、ファッションのみならず女性が人生を楽しむ方法を伝える。明快でまっすぐな「大草語録」に胸を打たれる人も多く、幅広い年齢層から支持を集めている。著書『大草直子のSTYLING&IDEA』(講談社)など多数。この春、新しいウェブマガジン「AMARC(アマーク)」を立ち上げたばかり。プライベートでは、3児の母親。

Instagram:@Naoko Okusa_official

Web:https://amarclife.com/

撮影・青木和義 ヘア&メイク・菊池かずみ 文・高橋顕子 構成・越川典子

プレゼント|「大草直子さん愛用のスカーフとサイン入り著書」セット

抽選で5名様に、「ヴェルメイユ パー イエナ」オリジナルのスカーフと、大草直子さんのサイン入り著書『大草直子のSTYLING&IDEA』とをセットでプレゼントします。薄手のシルクスカーフは、首に巻いたり、髪を結んだり、バッグに結わえたり、使い勝手のよさは大草さんのお墨付きです。